海洋プラスチックごみ問題

by A LittleSomething
海洋プラスチックごみ問題

みつろうラップの商品化を決意したきっかけでもある海洋プラスチック問題についてお話します。

海に流れ込んだプラスチックゴミの総量はすでに1億5000万トンを超え、2050年には、地球上に生息する魚の重量をプラスチックごみの重量が上回るとの予測もされています。2019年6月に開催されたG20サミットでは、2050年までに新たな海洋プラスチックごみによる汚染をゼロにする目標を掲げた「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を各国首脳が共有しました。日本でもレジ袋有料化やストローの材質変更等が進んでいるように、プラスチックゴミの問題は今世界規模で取り組むべき課題と言えます。

目次

海洋プラスチックごみ問題

  • 海洋プラスチックごみ、何が問題?
  • 海洋プラスチックごみの流出量、多い国と原因は?
  • 問題を改善する3つの対策とは?

海洋プラスチックごみ問題

海洋プラスチックごみ、何が問題?

海洋生物への影響

海洋生物への影響は甚大です。例えば、ウミガメがプラスチックのポリ袋をクラゲと間違えて食べてしまったり、廃棄されたプラスチック製の漁業網に絡まってクジラや海鳥が窒息死したりするなど、被害の報告が世界中で後を絶ちません。

 

人体への影響

海流で漂流したプラスチックごみが、雨や波、そして紫外線によって5ミリ以下の細かい粒子に砕かれます。

それを海洋生物が“餌”と間違えて食べれば、その後の食物連鎖であらゆる生物の体内にプラスチックが取り込まれることになります。もちろん魚を口にする人間も例外ではありません。

2019年6月にAFP通信で報じられた調査結果では、1人あたりが年間で取り込んでいるマイクロプラスチックは約5万2000個と報告されました。

 

経済損失

2018年に経済協力開発機構が発表した報告によると、海に流れ出たプラスチックごみがアジア・太平洋地域の観光業に与える損害は年間で約6億2200万ドル(約672億円)にのぼるとされています。

ごみの回収や漁業への悪影響、船舶の事故などを含めると、その損失は膨大です。

 

海洋プラスチックごみの流出量、多い国と原因は?

プラスチックの年間生産量は20倍に

プラスチックがこれほど大量に生産され始めたのは実はここ半世紀のこと。50年前の年間生産量は今の20分の1しかありませんでした。

現在、プラスチック総生産量のうち、レジ袋やペットボトルなどのパッケージ類が全体の3分の1と最多。

ごみとして廃棄される約半分もこうしたパッケージ類だといいます。

 

アジア諸国では分別の習慣や再処理技術が遅れている

世界経済フォーラム(2010年推計値)によれば、世界中にある海洋プラスチックごみのうち、82%の流出源はアジア諸国で、上位には中国やインドネシア、フィリピン、ベトナムなどの新興国が並びます。

ごみを分別する習慣がなかったり、リサイクル技術やリサイクル施設の導入が遅れていたりすることが、こうした国々がごみを多く流出する要因になってきました。

しかし近年ではアジア諸国でも植物由来のプラスチック袋の開発が進むなどの変化も進んでいます。

プラスチックの生産量、日本は世界3位

プラスチックごみの海洋流出量を国別に見ると日本は30位ですが、プラスチックの生産量を見ると、アメリカ、中国に続いて日本はなんと世界3位。

そしてアジア諸国にプラスチック製品を大量輸出している国こそが日本なのです。

2018年6月に発表された国連環境計画の報告書によると、1人あたりのプラスチックごみ廃棄量は32キログラムでアメリカに次いで日本は世界2位。プラスチックごみを廃棄している総合量でいえば中国、EU、アメリカ、インドに続いて世界5位。

日本が海洋プラスチックごみ問題にどう取り組むかは、地球環境の未来に大きく左右するのです。

 

問題を改善する3つの対策とは

海洋プラスチックごみに対する問題意識はここ数年、日本においてもずいぶん高まりを見せています。
多くの企業や自治体が独自の対策に乗り出し、それが追い風となり、老若男女問わず個人の取り組みも目立つようになりました。

企業の取り組み

例えば、世界的コーヒーチェーン店は世界中の店舗でプラスチックストローの廃止を進めています。プラスチックストローは小さいが故にごみ処理システムをすり抜け、自然環境に流出してしまうことも多いため、プラスチックストロー廃止はとても意義があります。

日本でも人気の家具雑貨を販売する会社では使い捨て用のプラスチック製品の販売を全て廃止すると発表しました。プラスチックの皿やスプーン、フォーク、ストローなどがこれにあたりますが、再生可能な原材料に切り替えるなどして、環境保護に取り組む方針です。

自治体の取り組み

独自の対策に乗り出す自治体も増えています。
徳島県にある町では、プラスチックごみを削減するため、飲食店や商店での個売り、量り売りを推進。油や醤油、米、お茶だけでなく、刺し身やカレーまで数量を指定して買うことができます。
また、容器を持参して買い物をするとポイントがたまり、ポイントを使って生活用品などとの交換もできる仕組みを導入するなど、ユニークな工夫がなされています。
京都府にある市では、事業者に対し、レジ袋の有償無償を問わず、提供を禁じる条例の施行を目指しています。実現すれば全国初の条例で、違反店舗には、店舗名を公表するなどの「罰則」も設ける予定だそうです。

 

個人の取り組み

国や自治体、企業がプラスチックごみの削減に取り組む中で、私たちが日常生活で無理なくできることは何でしょうか?それは、「リデュース(Reduce)=排出するごみの総量を減らすこと」です。日本国内で年間に消費されるレジ袋の枚数は推定400億枚といわれていて、これを1人あたりに換算すると、1日約1枚のペースで使われていることになります。つまり1日1枚を2日に1枚に変えるだけで、消費レジ袋は格段に減らすことが出来ます。便利なのでついつい使ってしまいがちですが、他の物で代用できないかな?と心がけるだけでも大きな変化ですね。数年先も豊かな自然や海を維持するために、プラスチックを減らす生活を一緒に始めてみませんか?